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塩狩峠のあらすじと感想をご紹介します。短いあらすじを知って興味を持ったらぜひ、書籍をお読みください。
サクッと内容の把握ができるので、読んだことがない人でもすぐ語れるようになります。会話の話題づくりや読書感想文にもぜひお役立てください。
塩狩峠のあらすじ①
永野信夫が主人公です。信夫は父の貞行と母の菊との間に長男として東京本郷に生まれました。菊は家族で一人敬虔なクリスチャンでした。そのため貞行の実母で信夫の祖母のトセにキリスト教の信者を理由にひどく嫌われ、家を追い出されていました。
信夫は幼い頃からトセにお前のお母さんは亡くなったと聞かされて育ちました。当時キリスト教は世間で蔑まれ嫌われていたのです。そのような祖母に育てられた信夫もキリスト教を嫌っていました。
祖母の死後、信夫は実の母が生きていたこと、家を出て行った理由を知ることになりました。家庭より進行を取った母に対する信夫の心境は複雑でした。
その後いったん裁判所の事務員として就職した信夫でしたが、北海道に移り住んだ旧友からの誘いもあり、北海道へ移住して鉄道職員になりました。そんな時妹の夫から聖書をもらって信夫は読み始めました。路上の伝道師の説教も聞きました。
そしてクリスチャンの世界へと誘われ、クリスチャンになったのです。キリストの教えに従い信夫は多くの人に愛される人間になっていきました。やがて信夫は婚約者ができました。その結納の日が運命の日になったのです。
信夫は札幌に向かっていました。信夫の乗った列車が塩狩峠に差しかかった時、最後尾の客車の連結がはずれて、列車は逆走し始めました。ノブをはとっさにハンドブレーキを操作しましたが、列車は減速したものの完全に止まることはありませんでした。
信夫は線路に飛び降り、自分の体をはって列車を止めたのです。信夫の命と引き換えに乗客は命拾いをしました。
塩狩峠のあらすじ②
明治時代末期、北海道旭川の塩狩峠で自らの命を犠牲にして大勢の乗客の命を救った実在の青年をモデルに描かれた長編小説です。
主人公の永野信夫は明治10年に東京の本郷で生まれました。母は既に亡く、穏やかではありますが芯のしっかりした父と、武家の出であることを誇りに思う祖母の元で育ちます。
祖母の死後、信夫の家に一人の女性が訪れます。それはなんと、死んだと聞かされていた信夫の母だったのです。キリスト教徒の母は父と結婚後、信夫の祖母に信仰を捨てるように言われるのですが捨てられず、そのため離縁されていたのでした。
信夫は父と母、そして離縁後に二人の間に生まれた妹と暮らし始めました。祖母の影響でキリスト教に良い印象を持っていない信夫。その気持ちは「母は自分と暮らすよりもキリスト教徒として生きることが大事だったのだ」という気持ちとあいまって、恨みに似た感情を抱くようになります。
父と母と妹が食前の祈りをささげていても同調せず、「キリスト教徒になんて死んだってなるものか」と思うのでした。
そんな信夫でしたが、妹の夫からもらった聖書を読んだり、路上でキリスト教の伝道師が熱心に説教するのを見たりするうちにキリスト教の教えに惹かれていき、クリスチャンになることを決意し洗礼を受けます。
信夫は職場の鉄道会社でも教会でも信頼される人物となりますが、同僚が犯した罪をかばい、東京から北海道に転勤になります。北海道でも信夫は献身的に働きました。そして親友の吉川の妹、ふじ子と結婚することになり、結納のため、名寄から札幌に汽車で向かいます。
塩狩峠を越えて下り坂にさしかかった汽車はブレーキがきかなくなり暴走を始めます。信夫は車輪の下に自らの体を投げ出します。そして汽車は止まり、信夫の犠牲によって多くの人の命が救われたのでした。
塩狩峠の全文は書籍で読めます。詳しく内容を知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
author:執筆者:高橋渉
「塩狩峠」の感想・口コミ
【感想・評判調査概要】
調査対象:本書を読んだ人
調査手法:インターネット回答
50代女性
敬虔なクリスチャンであった永野氏とはいえ、結納という自分の人生の岐路かつ結婚相手の人生やしあわせを犠牲にした永野氏には脱帽でした。私自身だったら自分のことを優先してしまうのではないかと考えさせられました。時代における考え方の違いかもしれませんが、今に比べて昔は仕事に対する忠誠心が強かったことを感じざるを得ませんでした。もし永野氏が自己犠牲にならず多くの乗客の命を救えなかったらこの時代は鉄道職員がののしられたのかもしれないとも思いました。
40代女性
この物語を読んだ後、実話を元にした話だと知って衝撃を受けました。キリスト教に対して反感を抱いていた主人公が母の生き方や様々な人々との交流を通じて自分の心のあり方を見つめ直し、クリスチャンとなるまでの過程がとても興味深いです。主人公がキリスト教に感じる疑問は、キリスト教徒ではない私が感じる疑問でもあり、信仰を持つ人の強さをあらためて実感できる作品でした。主人公のような生き方は到底真似できませんが、「自分の日常が遺言になるような生き方」に近づけるよう、心がけたいと思います。
塩狩峠のモデルとなった実話
実際の事故現場と内容を解説します。
1909年(明治42年)2月28日、官営鉄道天塩線で発生した鉄道事故がもとになっています。現在の宗谷本線塩狩駅付近を走行していた汽車の連結器が外れ、客車が暴走しそうになるという事故が起こりました。
鉄道職員の長野政雄氏がハンドルブレーキをかけ列車を減速させましたが客車は完全に止まりませんでした。その時乗り合わせていた鉄道員の長野政雄さんが客車の前に自らの身を投げ出して暴走を食い止め、多くの乗客の命を救います。
「塩狩峠」はこの長野さんをモデルに描かれています。
塩狩峠のテーマは自己犠牲
愛する人との結婚を控え、幸せの絶頂にいる主人公は多くの人々の命を救うために自らの命を投げ出します。「自分の幸せよりも他の人々の幸せを大切にする」という自己犠牲のキリスト教の精神がこの作品のテーマとなっています。
敬虔な宗教の教えからくる自己の行動によって多くの人の命を救うという愛に満ちた行為ができるか否か。そして、職業のために自己の人生・婚約者の人生など私的なことを犠牲にできるかということについて考えさせられます。
塩狩峠の名言
塩狩峠の名言を紹介します。
- この繰り返しのきかない一生を、自分の生命を燃やして生きていこう
- 恨まないということはそんなに大切なことであろうか。憎むべきものは憎むのが人間ではないだろうか
- いいか 人間はみんな同じなのだ。町人や士族よりいやしいわけではない。いや、むしろ、どんな理由があろうと人を殺したりした士族の方が恥ずかしい人間かも知れぬ
- おれは、自分の日常が遺言であるような、そんな確かな生き方をすることができるだろうか
- ぼくは毎日を神と人のためにいきたいと思う。いついかなる瞬間に命を召されても、喜んで死んでいけるようになりたいと思いますね
塩狩峠の基本情報
作品の詳細 | 内容 |
---|---|
作品名 | 塩狩峠 |
カテゴリー | フィクション |
著者 | 三浦綾子 |
発売日 | 1968年9月25日 |
ページ数 | 464 |
言語 | 日本語 |
ISBN-10 | 4101162018 |
ISBN-13 | 978-4101162010 |
塩狩峠のあらすじ、ネタバレのよくある質問
塩狩峠のよくある質問に回答します。
「塩狩峠」の映画・関連動画
「塩狩峠」の映画・関連動画をご紹介します。
「塩狩峠」は1973年に映画化されています。
塩狩峠の映画DVDは、2022年にクラウドファンディングでHDリマスター化され、ブルーレイで生まれ変わりました。無料ではないですが、クラウドファンディングで支援すると返礼品としてリマスター版がもらえました。
「塩狩峠」の関連動画をご紹介します。
塩狩峠のモデルとなった長野正雄さんをしのぶイベントが2023年2月28日に行われた動画です。
北海道の塩狩駅前で2月28日の命日に何度か開催されています。
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