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志賀直哉「暗夜行路」のあらすじと感想をご紹介します。短いあらすじを知って興味を持ったらぜひ、書籍をお読みください。
サクッと簡単に内容の把握ができるので、読んだことがない人でもすぐ語れるようになります。会話の話題づくりにぜひお役立てください。
暗夜行路のあらすじ①
時任謙作は子供の頃、母親には愛され、父親からは冷たくされた記憶があります。母親が亡くなった後、祖父に引き取られて、祖父の妾であったお栄と暮らす中で小説家を目指しながら毎日をすごしていました。
謙作は叔母の娘に求婚をするのだが断られてしまいます。謙作は心にひどい傷を負ってしまうと同時に身内の言動に疑問を抱き始めるのでした。
そんなこともあり、謙作は尾道に旅に出ます。旅の途中で謙作は祖父の妾であるお栄と結婚をしたいと考えるようになりました。その最中、謙作は実は祖父と母の不義の子であることを知ってしまい、再び苦しみます。
なんとか気持ちを整理して心が回復した頃、謙作は京都でとても美しい女性・直子と出会い、結婚をします。謙作は直子との間に子供をもうけたのですが、直ぐに亡くなってしまいました。
一方、お栄はというと、中国に渡っていました。お栄が無一文の状態で朝鮮にいることを知った謙作は、お栄を迎えに行きます。そして謙作の留守中に、謙作の妻と従兄が過ちを犯してしまうのでした。
そのことを知り、謙作は再び苦悩を背負ってしまい、鳥取の大山に一人でこもります。鳥取の大山の大自然の中で謙作は心を洗い清められ、全てを許すといった心境に変わっていきました。
暗夜行路のあらすじ②
主人公の時任謙作は幼くしては母を病でなくしました。ずっと父と兄弟と一緒に暮らせると思っていましたが、謙作が6歳の時、突然祖父が現れて謙作だけを引き取り東京へ連れていきました。
その後小説家となった謙作は幼馴染の愛子と結婚したいと願いました。謙作は愛子に求婚しましたが、急に先方が別の男性との縁談をまとめ謙作の願いは叶いませんでした。その後、謙作は人間不信のようになりました。
祖父の妾のお栄に家事を任せて、今でいうニートのような生活を送っていました。そうこうしているうちに謙作は何となく尾道に移住しました。自分の生活を立て直し、小説を書くことに没頭したかったのです。
そんな中謙作は自分がお栄に好意を持っていることに気づきました。お栄と結婚しようと思う旨、兄に手紙を書きました。
兄からの返信の手紙には謙作は祖父と実母の間に生まれた子どもであると書かれていました。それを読んだ謙作は大ショックでした。自暴自棄のようになってしまう謙作でした。
その後京都に移住した謙作は直子という女性に知り合います。直子に自分の素性をすべて話し、直子の親に結婚の許しを得ました。しばらく穏やかな日々を送りました。息子もできました。しかし息子は生後間もなく病気でなくなってしました。
そんな折、お栄が貧乏になって苦しんでいることを知り謙作は迎えに行きました。その間に直子がいとこと過ちを犯してしまったのです。それを知った謙作はやるせなく、夫婦仲もぎくしゃくするようになりました。
謙作は気分一新のために大山の蓮浄院の離れを借り、直子と別居しました。謙作は大山へ登り日の出の光景に感銘し、直子を許す気にもなりました。
しかし帰った後高熱で助かるか否かわからない状態になりました。直子が急いで駆け付け、謙作をみて改心し、一生謙作についていくことを決意したのです。
暗夜行路の全文は講談社文庫の書籍で読めます。他に岩波文庫からも書籍が出ていますが、前編と後編にわかれています。志賀直哉の世界観を存分に感じられるので、ぜひ読んでみてください。
author:執筆者:高橋渉
「暗夜行路」の感想・口コミ
【感想・評判調査概要】
調査対象:本書を読んだ人
調査手法:インターネット回答
40代女性
時任謙作の様々な苦難や苦しみが描かれている作品ではありますが、当初は読んでいて、こちらも胸が痛んだり、苦しくなるような内容が並んでいたように思います。どのように解決をしていくのだろうかとも考えていましたが、やはり、人間は壮大な自然の力によって、心が浄化されて行くものだとも感じた作品です。全てを許すといった気持ちにさせてくれた、大自然の偉大さと、謙作の心が鳥取尾上の美しい自然描写とリンクするようです。
50代女性
主人公が自分が祖父と実母の間に生まれた子供であるということを知った時のショックは計り知れないと思いました。その後結婚生活に安らぎを得ようとしたものの、息子を病でなくしたり、自分の妻が自分の留守に過ちを犯すなど立て続けにショックなことが起こりどこへ怒りをぶつけてよいかわからなかったと思いました。心を癒してくれたのは人間ではなく大自然ということから自然の広大さが人の心を寛大にしたと思いました。最後には妻も改心して一生主人公についていくことを決意して安堵しました。病になってからでなく元気な時に決意してほしかったと思いました。
つまらないという口コミがあるのはなぜ?
ネットには暗夜行路がつまらなかったという口コミも少しありました。理由は次のとおり。
簡潔で言葉足らず
無駄のない簡潔な文章で書かれていますが、言葉足らずな部分があるのも要因と考えられます。例えば、大山の大自然の中で太陽が昇るのをみて、心が浄化された理由を書いていないことです。
身近過ぎてありきたり
小説のテーマが何気ないことや、謙作の悩みや苦悩の解決策として旅に出るのが、あまりにも身近なことです。読み手側からすると、もう少しひねりをいれて欲しいなど物足りなさを感じてしまいます。
快・不快の文学は好みが分かれる
志賀直哉の小説が快・不快の文学といわれるように、自分の感情抜きで文章を書いていない部分が多いことも要因と考えられます。
志賀直哉は身近なものや日常をテーマにした作品が多いです。当たり前の日常で、私たちが見逃してしまうような感情をも取り上げます。好みが分かれる作品ですが、感情の表現や情景描写がとても上手いのでファンも多いです。
暗夜行路の冒頭を解説
暗夜行路の冒頭を解説します。
時任謙作の実母は、謙作を生んでほどなくして産後の病気でなくなります。その後しばらくして突然祖父が現れます。謙作6歳の時でした。謙作は自分は父や兄弟と一緒に暮らせるものと考えていましたが、自分だけ祖父に引き取られたのです。
後に兄の手紙に書かれてあった自分は祖父と実母の間に生まれた子であることを、祖父が連れに来て自分だけ引き取られたことから察していたと考えられます。
謙作は不義の子であり、様々な思いを胸に葛藤しながら、時には悩みながら生きて来たということを表現しています。一番に言いたいことを冒頭に記したのだと解釈しました。様々な思いを抱えながら生きている謙作を冒頭で理解できます。
暗夜行路の名言・印象に残った言葉
暗夜行路を読んだ人に、名言や印象に残った言葉を聞きました。
- 大地を一歩一歩踏みつけて、手を振って、いい気分で進まねばならぬ。急がずに、休まずに
- 人間が鳥のように飛び、魚のように水中を行くということは、果たして、自然の意志だろうか
- 明日は、明日はと見ていたところで、そんな明日はいつまで待っても来やしない
- 過去は過去として葬らしめよ
- こういう無制限な人間の欲望がやがて何かの意味で人間を不幸に導くのではなかろうか。人知に思いあがっている人間はいつかそのためむごい罰をこうむる事があるのではなかろうか。
暗夜行路のモデルとなったのは?
主人公は作者でもある志賀直哉であると言われています。度重なる男女関係の不幸により、苦悩を繰り返していく様が描かれました。大自然の中で心を浄化して全てを許そうという気持ちになり、自身の暗夜行路を終える物語になっています。
また、友人の作家、阪口は白樺派の朋友、里見淳と考えられます。直哉は彼と何回か衝突絶交をしていました。
暗夜行路の基本情報|英語版書籍はある?
作品の詳細 | 内容 |
---|---|
作品名 | 暗夜行路 |
カテゴリー | フィクション |
著者 | 志賀直哉 |
発売日 | 1921年 |
ページ数 | 640 |
言語 | 日本語 |
ISBN-10 | 4101030073 |
ISBN-13 | 978-4101030074 |
暗夜行路の英語版書籍
暗夜行路は英語版の書籍もあります。
暗夜行路のあらすじ、ネタバレのよくある質問
暗夜行路のよくある質問に回答します。
「暗夜行路」の映画・関連動画
「暗夜行路」の映画・関連動画をご紹介します。
「暗夜行路」は1959年に映画化されています。
他には、朗読や国語の対策などの関連動画がYouTubeにあります。気になる方はチェックしてください。
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