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教科書にも載っていた「手袋を買いに」のあらすじと感想をご紹介します。短いあらすじを知って興味を持ったらぜひ、書籍をお読みください。
サクッと簡単に内容の把握ができるので、読んだことがない人でもすぐ語れるようになります。会話の話題づくりや読書感想文にもぜひお役立てください。
手袋を買いにのあらすじ①
きつねの親子が住む山に、寒い冬がやってきました。ある朝目を覚ますと外は一面の雪景色となっていました。子ぎつねは初めて見る雪が楽しくてなりません。雪遊びを楽しんで、母ぎつねの待つほら穴へ帰ってきました。
「お母ちゃん、おててが冷たい。おててがちんちんする。」そう言いながら差し出された子ぎつねの両手に、母ぎつねは、はあっと息を吹きかけて手でやんわり包んで温めてやるのでした。
子ぎつねの手にしもやけができてはかわいそうだと思った母ぎつねは、子ぎつねの手に合うような毛糸の手袋をかってやろうと思いました。夜になると親子のきつねは街へと出かけていきました。
しかし母ぎつねは昔、人間にひどい目にあわされて命からがら逃げ出したことを思い出し、どうしても街に入れませんでした。仕方がないので子ぎつねだけを一人で街に行かせることにしました。「ぼうや、手をお出し。」母ぎつねはそう言うと、子ぎつねの片方の手を人間の手に変えました。
母ぎつねは「ぼうし屋さんに行ったら戸の隙間からこの手を出して手袋を買いなさい。人間は恐ろしい生き物だから間違ったほうの手を出すと捕まえられてしまうから気を付けて。」とこぎつねに言い聞かせます。しかし街の灯りがまぶしくて、子ぎつねは間違ったほうの手を戸の隙間から入れてしまいました。
帽子屋さんはきつねが買いに来たことに気づき、きっと葉っぱのお金に違いないと思ったので、受け取った2枚の白銅貨をぶつけてみたところ、良い音がしたので「これは本物のお金だ」と、子ぎつねに手袋を渡してやりました。
戻ってきた子ぎつねからこの話を聞いた母ぎつねは「本当に人間はいいものかしら」とつぶやくのでした。
手袋を買いにのあらすじ②
森に住む狐の親子が冬のとある寒い日に凍えていました。子狐は寒さに耐えきれず母狐と手袋を買いに人間の街に出ることを提案します。
母狐は人間の街に出ることに足が竦み、子狐だけで人間の街へ手袋を買いに行くことになります。母狐は子狐の片手を、人間の子どもそっくりの手にし、人間の手を出し、お金を払って手袋を貰うように教えます。
子狐は、街を歩いてようやく手袋屋に着きます。そして開いたドアの隙間から片手を出し、手袋を欲しがります。しかし子狐は母狐に教えてもらったにも関わらず、間違えて狐の手のままの方を差し出してしまいます。
手袋屋の家主は狐が葉っぱで代金を支払うのかと思いお金をすり合わせると硬貨特有の音がした為、子狐が差し出した狐のままの手に手袋を渡してやります。
子狐は、間違えて人間では無い方の片手を差し出してしまったが、手袋をくれた人間に感動し、人間は怖くないのだと思い、人間と動物との壁が剥がれたような暖かい気持ちになります。
手袋屋を出ると人間の親子の声が聞こえてきて、母狐のことが恋しくなった子狐は帰路を急ぎ家に帰ります。母狐の元に帰ってきた子狐は、手袋をくれ、人間と同様に扱ってくれた店主を思い出し人間は怖くないことを母狐に伝える、という所で物語は終わります。
手袋を買いにの全文は書籍で読めます。新美南吉の世界観を存分に感じられるので、ぜひ読んでみてください。
author:執筆者:高橋渉
怖い?泣ける?「手袋を買いに」の感想文・口コミ
【感想・評判調査概要】
調査対象:本書を読んだ人
調査手法:インターネット回答
40代女性
小学生の教科書に載っていたこの物語を読んだとき、「自分はトラウマになるくらい人間怖い目にあわされたのに子ぎつねを一人で行かせるなんて、ちょっとひどいお母さんだなあ。」と思い、なにかモヤモヤした気持ちになったのを思い出しました。大人になってあらためて読むと、テレビ番組の「初めてのおつかい」を見ているような気持ちになりました。これは子ぎつねが自立への第一歩を踏み出す物語で、きっと母ぎつねも心配しながら子ぎつねがいつか自立することを思って一人で行かせたのかもしれないなと思いました。
10代女性
人や動物、あるいはそれ同士のコミュニケーションの暖かさ、人間と狐が自然界に共存することについて考えさせられる物語だと感じました。人間も動物も、1人、1匹だけでは生きていけない為、コミュニケーションや親子間の暖かさが必要になります。また、人間と動物が共存するには、本当の意味で垣根を超えることが出来なければならない為、お互いを許容し合うだけでは共存することは困難であることを暗に示しているのではないかと感じました。
怖いという口コミがあるのはなぜ?
ネットには「怖い」という口コミが少しありました。理由は最後の言葉が改稿されていることです。初稿は次のとおり。
「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものなら、その人間を騙さうとした私は、とんだ悪いことをしたことになるのね。」とつぶやいて神さまのゐられる星の空をすんだ眼で見あげました。
新美南吉「手袋を買いに」初稿
セリフが短くなり、含みがあって意味深な終わりになっていることから、「こわい」と言われていました。
直接的に怖いシーンはなく、「感動した」「泣けた」と言う口コミも多数ありました。
「手袋を買いに」で伝えたいこと
手袋を買いにを読んだ人に、この本が伝えたいことを考えてもらいました。
伝えたいこと①
人間にひどい目にあわされてトラウマになっている母ぎつねは「人間は怖いものだ」という気持ちでいます。しかし子ぎつねの話を聞いて「本当はそうではないのかもしれない」という気持ちに変化していきます。その変化していく様子を伝えたかったのだと思います。
伝えたいこと②
この作品は全体を通して、人間も動物にも生き物には心があり優しさや暖かさはその種別という垣根を越えて通じるものがあるということを伝えたいのではないかと感じました。
狐は人間を騙す、や、人間は狐を追いかけ回し追い込む、などの動物間の固定概念を壊すことこそが共存に繋がるということも伝えたいことではないかなと感じました。
手袋を買いにの魅力
「手袋を買いに」の魅力を解説します。
狐と人間の場面が描かれている
狐と人間界のそれぞれのコミュニケーションを描いているところに魅力を感じました。狐にも人間にもそれぞれ母や子がいて、それぞれの暖かな会話ややり取りを描くことによって、共通する親子の暖かさや動物間の種別の違いは関係無いということも感じることが出来ます。
子ぎつねがかわいい
子ぎつねが純粋でかわいいです。人間が手袋をくれたことに嬉しくなり、母狐に報告する姿は、想像するだけでとても可愛らしいですね。狐も人間も、子供の純粋な心はとても魅力的で心があたたまります。
余韻を残すラスト
母ぎつねは昔のトラウマが原因で、人間を恐ろしいものだと思っています。しかし子ぎつねに手袋を売ってくれた帽子屋さんはそうではありませんでした。
人間といってもいろんな人がいるのかもしれないと母ぎつねの心が揺れる場面でこの物語は終わっています。なにか余韻を残すような、読む人に疑問を投げかけるような、そんな終わり方がこの物語の魅力のひとつになっています。
最後のセリフ「ほんとうに人間はいいものかしら」の考察
結末で母狐が言った「ほんとうに人間はいいものかしら」という言葉は、母狐の葛藤を表しています。下記で詳しく考察します。
過去の記憶との葛藤
母狐は、人間は恐ろしいものだと感じており、この考えは生まれて以来生きてきて得た教訓のようなものです。子狐が伝えた人間が優しい、恐ろしくないということを受け入れようとしていますが、「人間は恐ろしい」という記憶と心の中で葛藤します。
罪悪感との葛藤
人間は怖いと思っていた母ぎつねは、子ぎつねの手を人間の手に変えてしまいます。つまり、人間をだまそうとしたのです。
子ぎつねが無事に帰ってきたのを見て、「子ぎつねを守るためとはいえ、だまそうとした自分は悪いことをしたのではないか」という心の揺れを表現しているのだと思われます。
手袋を買いにの基本情報|英語の絵本はある?
作品の詳細 | 内容 |
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作品名 | 手袋を買いに |
カテゴリー | 児童文学 |
著者 | 新美南吉 |
発売日 | 1943年 |
ページ数 | 32 |
言語 | 日本語 |
ISBN-10 | 4039633105 |
ISBN-13 | 978-4039633101 |
イラストが優しい絵本で読み聞かせにぴったりなので、ぜひ読んでみてください。
手袋を買いにの英語版の絵本
手袋を買いには英語版の書籍もあります。
手袋を買いにのあらすじ、ネタバレのよくある質問
手袋を買いにのよくある質問に回答します。
「手袋を買いに」の関連動画
「手袋を買いに」の関連動画をご紹介します。
朗読や語り劇、アニメなどの動画がYouTubeにあります。気になる方はチェックしてください。
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