本ページは広告が含まれます。私たちのパートナーのリストを公開しています。
斜陽のあらすじと感想をご紹介します。短いあらすじを知って興味を持ったらぜひ、書籍をお読みください。
サクッと簡単に内容の把握ができるので、読んだことがない人でもすぐ語れるようになります。会話の話題づくりや読書感想文にもぜひお役立てください。
斜陽のあらすじ①
「あ」と短い叫びをお母さまがあげるところから物語は始まります。お母さまはスープに髪の毛が入ったような気がして驚いたのですが、そこから息子はお母さまは本物の貴族だ、スープを優雅に飲めるのはお母さまぐらいだ、と褒めます。
息子の直治はアヘン中毒です。賭け事をしたりアヘンを吸ったり、自分が貴族であることから逃れようとしています。
娘のかず子は、離婚して実家に戻った出戻り娘ですが、本人曰く「ひめごと(秘密)」があります。それは上原という妻帯者の小説家とキスをしたことです。
彼女は一回のキスで、上原は離婚して自分と結婚したいのだと思い込みます。これはモテモテ男の太宰自身が、作家志望の女性にストーカーされていた実体験が反映されています。
そしてこの一家は、ついにお金がなくなり、豪邸を売り、親戚の伯父のあっせんで、伊豆に引っ越すことになりました。お母さまは悲しみ嘆きますが、自分の生活を変えることはありません。娘がお金を稼ぐために、日雇いのような仕事をして、どんどん下卑ていきます。
そしてついに彼女たちは家で火事騒ぎを起こします。初めは有名な華族につながるこの一家に対し敬意を払っていた地元の人も、「おままごとのような生活をして」と非難します。
そしてお母さまは亡くなり、直治も「僕は貴族です」という言葉を残して自殺します。かず子は上原を誘惑し、子どもができ、上原にストーカーのような手紙を書くことで物語は終わります。これも太宰の実体験かと思います。
斜陽のあらすじ②
日本が第二次世界大戦で敗北し、戦後華族制度というものがなくなりました。それに伴い、未亡人のかず子の母、かず子は東京から伊豆へ移り住むことになります。今までの生活とは一転し、かず子の苦労が始まります。
かず子の母親はもちろん、かず子自身も家事ができなかったので火事を起こして村人たちにままごとをやっているのかと思ったなどと揶揄されました。
そんな時かず子の叔父、かず子の弟の直治は戦争から生還したがアヘン中毒であること、お金が底をついているのでかず子を嫁か奉公に出すように勧められます。
しかしかず子は怒り母はそれをみて着物や洋服を売って暮らそうと決意。そんな中直治が帰ってきて地獄の日々が続きます。
直治は小説家で妻帯者で酒浸りの上原の所へ入り浸るようになるのです。直治は華族という地位を捨てて生きられないので葛藤の末自害します。
病気がちな母も亡くなり、かず子が頼るのは直治を介して知り合った上原のみです。かず子は子供が欲しいと3通の手紙を送りますが返答がないので、上原の家に乗り込みました。そのうち上原と恋愛関係になり子供まで身ごもります。
華族としてしか生きていけないかず子の母、華族という昔の社会的地位を捨ててまで生きたくない直治、華族という地位を捨て去る自分なりに決断して生き抜こうとするかず子の物語です。
身寄りのないかず子は上原にも距離を置かれるようになりますが、子どもと一緒に生きていこうと強く決意をします。
斜陽の全文は書籍で読めます。太宰治の世界観を存分に感じられるので、ぜひ読んでみてください。
author:執筆者:高橋渉
【200字~400字】「斜陽」の感想文・口コミ
【感想・評判調査概要】
調査対象:本書を読んだ人
調査手法:インターネット回答
50代女性
太宰治の小説で、一番美しく、一番悲しい物語です。彼の愛人には没落貴族のお嬢様がいて、彼は彼女の日記を借りたと伝えられています。リアルな会話は愛人を取材して書いたのでしょう。題名の「斜陽」は、日が傾く時刻、つまり夕方の最後の明るさを示しています。それは没落貴族の最後の優雅さです。最後の貴族として生きるお母様の優雅さ、娘がだんだん下卑ていく様子、アヘンにおぼれた息子が「私は貴族です」と死んでいく最期は、滅びの美学を表しています。
50代女性
華族という社会的地位が高く、家事・畑仕事などをしたことのないお嬢様が今までの地位を捨てて生きていくことがいかに困難であるかがわかりました。また、人間はひとりっきりでは生きていけないことも手に取るように分かりました。華族という地位を絶対に捨てられないかず子の母、華族という地位を捨てられないばかりに自殺した直治、華族という立場にこだわらず生き抜いていこうとするかず子は対照的だと思いました。いつの時代も自分自身で自分の人生を切り開いて生きていく力が重要であることを思い知らされました。今でこそ不倫や離婚はタブーではありませんが、斜陽の時代かず子さんは道徳的革命を起こし、その意味で強い女性だと思いました。
斜陽で伝えたいことを考察
お母様は貴族としては優雅でしたが、世間知らずで、お金がいくらあるかも知らない、子どもはアヘン中毒、出戻り娘と教育にも失敗しています。
自分に非があるのに、非があることさえ理解できずに滅びていく、貴族の愚かさを描いています。そして蛇の卵を焼く、というかず子の無慈悲な行為が最後まで呪いのように響いていきます。貴族の没落は、身から出たさび、と太宰は言っているような気がします。
他にも伝えたいことは下記のとおり。
- 人間は人生において栄える時も廃れる時もある。
- 生まれ持って与えられた自分の立場にいつまでもこだわっていてはいけない。
- 自分の生きる道は自分自身で見定め検討して、切り開いていくことがどの時代においても重要である。
- 老若男女に関わらず、人間一人一人が生き抜く力を身につけておくべきであるということです。
斜陽の名言・印象に残った言葉
斜陽を読んだ人に、名言や印象に残った言葉を聞きました。
- ああ、お金が無くなるという事は、なんというおそろしい、みじめな、救いの無い地獄だろう。
- 人から尊敬されようと思わぬ人たちと遊びたい。けれども、そんないい人たちは、僕と遊んでくれやしない。
- 私には、常識という事が、わからないんです。
- 人間は恋と革命のために生まれてきたのだ。
- 私のひとすじの恋の冒険は成就だけが問題でした。そうした私のその思いが完成させられて、もういまでは私の胸のうちは、森の中の沼のようでございます。
- 幸福感というものは悲哀の皮の底に沈んで幽かに光っている砂金のようなものではないだろうか。
難しい?斜陽のラストの解釈
上原の奥さんに自分の子どもを抱かせて、「これは、直治が、或る女のひとに内緒で生ませた子ですの」と言いたい、とかず子は手紙に書きます。かず子はストーカー気質の女性なので、上原を独占している奥さんへの嫉妬です。
直治が、を上原が、と変えるだけで意味が通じる言葉だからです。この言葉は実際に太宰がストーカー女性に言われたのではないかと推測します。
また、MCはかず子が上原につけた手紙上のニックネームです。最初のMCはロシアの劇作家、アントンチェーホフの『桜の園』へのあこがれや尊敬の念、美しさの象徴として『マイ・チェーホフ』と略して「MC様」と呼んでいました。
次に、上原という人間がわかり始めたかず子は「MC」を『マイ・チャイルド』と改めます。格好をつけているだけで実際は子供のようだったからです。最後に上原も自分も結局は喜劇の中の登場人物だったと考えるようになり、『マイ・コメディアン』というようになりました。
斜陽の基本情報|英語版書籍はある?
作品の詳細 | 内容 |
---|---|
作品名 | 斜陽 |
カテゴリー | ロマン小説 |
著者 | 太宰治 |
発売日 | 1947年12月15日 |
ページ数 | 231 |
言語 | 日本語 |
ISBN-10 | 4003109031 |
ISBN-13 | 978-4003109038 |
斜陽の英語版書籍
斜陽は英語版の書籍もあります。
斜陽のあらすじ、ネタバレのよくある質問
斜陽のよくある質問に回答します。
「斜陽」のドラマ・映画・関連動画
「斜陽」のドラマ・映画・関連動画をご紹介します。
「斜陽」はドラマ化されています。「ドラマでつづる昭和シリーズ」内の1作で放送されました。
また、「斜陽」は2022年に映画化されています。タイトルは「鳩のごとく蛇のごとく斜陽」です。
- 上映館:全国のTOHOシネマズなど
- 主題歌:「ラピスラズリの涙」小椋佳
- キャスト
- 宮本茉由(島崎かず子)
- 安藤政信(上原二郎)
- 水野真紀(島崎都貴子)
- 奥野壮(島崎直治)など
現在の上映館情報や上映期間はいつまでかは、公式サイトを参考にしてください。
コメント