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川端康成「雪国」のあらすじと感想をご紹介します。短いあらすじを知って興味を持ったらぜひ、書籍をお読みください。
サクッと内容の把握ができるので、読んだことがない人でもすぐ語れるようになります。会話の話題づくりや読書感想文にもぜひお役立てください。
雪国のあらすじ①
「国境のトンネルを抜けると雪国だった。」あまりに有名な冒頭の一文で始まる「雪国」は、東京下町生まれ、妻子のいる文筆家の島村が、一人、汽車に乗り、一年前に訪れたことのある温泉場に向かうシーンから始まります。
その汽車の中で、島村が出会ったのは、腸結核のため余命わずかな行男と、その恋人らしき葉子の二人。この時は興味は惹かれたものの、なじみの芸者の駒子と関係があるとは知りませんでした。
その後、温泉場のある駅についた島村は、旅館まで着くと、昨年の夏に出会った駒子を呼んでもらい、朝まで二人で過ごします。その日の昼。島村は駒子に誘われて、彼女の住んでいる家の屋根裏部屋に向かいました。その場所は、駒子の「踊りの師匠」の家。
島村はそこで汽車で出会った行男と葉子に再会し、駒子は行男の婚約者と周囲には目されていて、葉子とも浅からぬ縁があることを知ります。
島村、駒子、葉子、行男。それぞれにワケありな男女四人が織り成す物語は、まるで昼ドラを見ているかのようです。行男の死、島村と駒子の言い争い、繭倉の火事などインパクトあるエピソードを挟みながら進みます。
雪国のあらすじ②
「雪国」は、川端康成による越後湯沢が舞台の小説です。主人公は小説家の島村で、島村はある年の冬に雪国に向かう列車の中で病人の行男とそれに付き添う葉子に目を留めます。島村が降りた駅でその二人も降りました。
島村はその日芸者を呼び、去年の夏に知り合っていた駒子が訪れます。駒子は去年は芸者ではありませんでしたが、許嫁であった行男の治療費のため芸者になったということです。しかし、今は葉子が行男の恋人であるようです。
駒子はすでに新しい恋人を持っている許嫁のために芸者になったのです。行男は肺結核でした。当時、肺結核というのはほぼ治らない不治の病として扱われていました。島村は毎晩駒子と過ごし、帰る際にも駒子が見送りについてきます。
しかしその途中で、行男が今にも亡くなりそうだと葉子が駒子を呼びに来ます。しかし駒子は、行男が亡くなるところを見たくないと葉子を振り払い家には戻りませんでした。
二年後島村は三度その街を訪れます。駒子は、島村に会うと去年に来るという約束を破ったと怒ります。あの後行男は亡くなったということでした。駒子と島村は行男のお墓参りに行きますが、そこには葉子がいました。
葉子は東京に行こうと思っているようで、島村が東京に戻る際に自分も連れて行ってくれと頼みます。また、島村と駒子の関係を考えた上で、島村に駒子のことを頼むと言います。そのときは島村は秋から冬までその街に逗留を続け、頻繁に駒子と過ごしました。
ある日街の芝居小屋などに使われている繭蔵が火事になります。そのとき一緒にいた駒子と島村は繭蔵を見に行きました。そのとき燃えている繭蔵の二階から、誰か女性が落ちました。それが葉子であることに気づいた駒子は駆け寄ります。
雪国の全文は書籍で読めます。川端康成の世界観を存分に感じられるので、ぜひ読んでみてください。
author:執筆者:高橋渉
「雪国」の感想・口コミ
【感想・評判調査概要】
調査対象:本書を読んだ人
調査手法:インターネット回答
30代女性
川端自身は意図しなかったかもしれませんが、当時流行ったという「国境の町」の返歌のようにもとれる作品で、海外にいる日本人の「懐郷の情を誘う作品」になったのも納得です。私のお気に入りのシーンは、島村が「君はいい女だ」と言い、駒子が怒るシーン。駒子は「いい女」という言葉の裏に「男にとって、都合のいい女」の意味が掛かっていると「あんた私を笑ってたのね。やっぱり笑ってらしたのね」と島村をなじりますが、その姿がなんともいじらしくて、キュンとしてしまいます。この作品は「枕草子」「俳諧」的と言われることがありますが、話の作り方から言えば、「源氏物語」のように貴種流離譚を引いている側面もあり、急に終わりますが、川端としては島村と駒子のその後は読者に自由に想像してほしいと思ったのではないかと推察しています。そのため、何度読み返しても年を経るたびに印象が異なり、繰り返し読み返したくなる作品です。
20代女性
有名な一文に始まる、川端康成による美しい雪国が舞台の小説です。駒子と葉子という立場もタイプも違う2人の女性が描かれますが、その2人に通底する悲しみのようなものが描かれていると思い、美しく悲しい小説だと思います。私は駒子が好きで、行男のために芸者になる悲しみや、行男が亡くなる際に家に帰らない態度、自分の悲しみを抱えて島村と共に過ごそうとする行動が好きです。ラストのシーンも非常に映像的で、雪国の白に火の赤が映えて美しいと思います。
意味がわからない?「雪国」ラストの考察
ラストは繭倉の火事を島村と駒子が見に行くシーン。葉子が二階から落ちた姿を目の前にして駒子が「この子、気がちがうわ。気がちがうわ。」と虫の息の葉子を抱きながら叫ぶのですが、そのまま葉子が死んだのか、島村が東京に帰ったのか、駒子はどうしたのか、何も書かれず、話はあっけなく終わります。
残されるのは、島村が東京の妻子のいる「現実」に帰っていく予感と、駒子が雪国に一人残されて、気が違っていく予感ばかり。 途中、「生きた相手だと、思うようにはっきりも出来ないから、せめて死んだ人にははっきりしとくのよ」と駒子が口にしていますが、あの墓参りのシーンはこのための伏線のように思っています。
そしてこの言葉につきるのでしょう。「ほんとうに人を好きになれるのは、もう女だけなんですから」こんなにいじらしい駒子を置いて「現実」に戻るとしたら、島村が、本当、憎たらしいものです。
葉子と駒子の関係
行男の元許嫁と新しい恋人という対立関係のような葉子と駒子ですが、2人が心のどこかで通じて持っていた女の悲しみのようなものがあると思います。そのような2人に通底する悲しみの分かち合いが表れたラストシーンです。
「雪国」は面白い!魅力を解説
雪国の魅力を解説します。
「面白いな、続きが知りたいな」と思っているうちに残りのページ数が少なくなり、最後の幕引きは「え、ここで終わってしまうの・・・!?」と、実にあっさりと終わります。まるで大量にあった雪が跡形もなく消えてしまい驚くのに似たあっけなさです。
元々、別々の雑誌に書かれていた七つの断章を書き下ろしの新稿を加えてまとめた作品ということもあり、作品全体の主題を問われると、一読では把握できない作品です。
「起承転結」で追っていこうとすると、時系列も複雑なので、主題らしい主題を捉えにくく感じますが、正直「読むんじゃない、感じるんだ!」というタイプの作品です。男女四人の織り成す複雑な心情と、美しい情景描写をまとめ上げており、読後の印象は、まるで一幅の絵を見終えたような、感覚を味わえる作品です。
「雪国」の基本情報
作品の詳細 | 内容 |
---|---|
作品名 | 雪国 |
カテゴリー | フィクション |
著者 | 川端康成 |
発売日 | 1948年12月25日 |
ページ数 | 208 |
言語 | 日本語 |
ISBN-10 | 4041008468 |
ISBN-13 | 978-4041008461 |
雪国の英語版書籍
雪国は英語版の書籍もあります。
雪国のあらすじ、ネタバレのよくある質問
雪国のよくある質問に回答します。
「雪国」のドラマ・映画・関連動画
「雪国」のドラマ・映画などの関連動画をご紹介します。
「雪国」は高橋一生主演でドラマ化されています。2022年NHK_BSプレミアムで放送。気になる方はチェックしてください。
また、「雪国」は映画化・舞台化されています。
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